古代中国で発生した陰陽説は、天文暦、宗教、倫理、政治、兵法、産業、医術、芸術などの根拠となって、変遷と発達がありました
これは天体の運行を観察することにより、古代中国人が大宇宙の目的を感得し理論体系化したものです
(以上『漢方問答』荒木正胤著より一部引用させていただきました)
今日では、理論体系化した内容に重きがおかれ、いかに理論を応用するかに関心が集まっているように感じられます
現実と理論の整合性に拘泥するあまり、日常生活に豊かさを感じられず、ややもすると理想を追い求めて窮屈になっていることさえあります
これは真理を知るための手段(理論)が目的となっているからではないでしょうか
それでは「感得された大宇宙の目的」とは何なのでしょう
大宇宙(大いなるひとつの意識)は、完璧な状態にあり、このままでは完璧ということを意識できない、そのために、完璧でない状態(分離意識)を創造しました
つまり、完璧さを認識することが大宇宙の目的なのです
その目的を達成するためのものが「比較する」ということです
比較するには同時に存在する二つのものが必要となります
それを「陰」と「陽」と名づけたのです
陰と陽は、正反対のものではなく、完璧である(愛である)状態の程度の両極です
陰は限りなく愛でない状態、陽は限りなく愛である状態なのですが、その時に陰である状態、陽である状態のみしか認識できなければ比較できません
したがって、陰と陽は同時に存在しています
この愛である状態の「程度」(陰か陽か)を決めているのが、私たち(分離意識)の思い込みや業(カルマ)です
すなわち陰陽というものは、対象物がもつ性質ではなく、観察者の愛である状態を感じる観点の位置とも言えます
それでもある程度の共通認識が得られるのは、個人意識、集合意識が共有している「程度」(思い込みや業)があるからです
このような陰陽という概念が発生した動機(パッション)からの観点ももちながら、陰陽説をとらえなおすと真意が観えて、理解が深まると思います
2013-07-08